当社は、国土交通省が推進する「ヒトを支援するAIターミナル」の実現に向けた取り組みの一環として、一般社団法人港湾荷役システム協会(以下、「港湾荷役システム協会」)と連携し、ガントリークレーン熟練技能者の暗黙知継承に向け以下の開発を行いました。
- Mixed Reality(以下、「MR」)技術による、ガントリークレーン技能者の荷役操作支援を目的とした、システムの開発および同システムの現場実証用アプリケーション構築。
- Virtual Reality(以下「VR」)技術による、ガントリークレーン若手技能者の訓練を目的とした、操作シミュレータの開発。
MR技術によるガントリークレーン荷役操作支援の転用として、JFEエンジニアリング株式会社(以下、「JFEエンジニアリング」)と連携し、シミュレータ環境へ荷役支援機能を付加し、ガントリークレーン操作時における荷役指示機能の有効性を確認しております。
背景とねらい
港湾の荷役機械は、海上輸送の拠点である港湾機能を支える重要な機材です。日本の港湾荷役においては、世界最高水準の荷役技術を有するガントリークレーンの熟練技能者が支えています。一方で、ガントリークレーンの操作は難しく、熟練技能者に至る期間も長期に渡るため、少子高齢化や人口減少による将来的な担い手不足が想定されます。
そこで、港湾荷役システム協会と連携し、令和元年度から令和3年度にかけて、熟練技能者が有する暗黙知を明確化することに取り組んできました。
その結果、VR上でのシミュレータによるトレーニングが効果的であること、MR等での操縦者の視界に付加情報を提供することで、初心者から熟練者までの操作支援になることを確認しています。
ネクストスケープは、この取り組みにより港湾荷役における可能性の幅を広げました。今後も技術的なアプローチから、各産業でヒトを支援し、進化させる役割を担ってまいります。
実施概要
◆MR技術を活用したガントリークレーン技能者向けの荷役操作支援システムの開発
ガントリークレーンの操作情報をMicrosoft HoloLens 2へ連携し、荷役支援に繋がる付加情報を現実空間に重ねて表示することで、操作時における視覚的な支援が可能。
Microsoft HoloLens 2の空間再現能力を最大限に活用し、移動する操縦席からホログラム投影を実現することで、荷役対象コンテナへの直接指示が可能。
◆VR技術を活用した操作シミュレータの開発
操作シミュレータでは、様々な荷役操作訓練ができ、操作記録は指標別に算出可能なため、自身の技能向上に結び付けることができる。
研修施設で現役指導員による体験とフィードバックを繰り返し、実機に近い動作をVRデバイスで再現。
◆MR技術によるガントリークレーン操作支援の転用事例
ガントリークレーンメーカーのJFEエンジニアリングが有する、実荷役に近いシミュレータ環境において、ネクストスケープの技術提供により荷役支援機能を付加。
シミュレータでの操作試験による評価を行い、ガントリークレーン操作時における荷役支援機能の有効性を確認。
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